この世界に生きている – 加藤泉 × 陳飛

展覧会紹介

富山県の水源豊かな町にある「入善町にゅうぜんまち 下山にざやま芸術の森 発電所美術館」(以下、発電所美術館)。もと水力発電所の面影を残す大空間を活かした展示で注目を集めるこの美術館で、今秋、国際的に活躍する加藤泉と中国人アーティスト・陳飛(チェン・フェイ)による現代アート展が開催されます。二人に共通する「人」を題材とした豊かな表現を紹介いたします。

加藤泉は、独自のプリミティブな形象をもつ「人」をモチーフに、油彩画と、木やソフトビニールを素材とした彫刻を制作しています。加藤の手から生み出される、胎児や民俗彫刻を思わせる「人」は、時に植物や地と交わり、根源的な生命感を放ちます。平面と立体を行き来する中で表現が磨かれ、迫力やユーモア、愛らしさなどさまざまな表情を見せる存在となっています。

日本で初の発表となる陳飛は、大学で映画を学んだ経験をもとに、物語的な情景や意味ありげなシーンなどを絵画で活写。人間の業を見つめ、時にユーモアも交えて表現しています。それはあたかも一人で創作できる映画のよう。一人っ子政策後に生まれ、欧米や日本の資本主義社会や文化の影響を受け、自国との間で問題意識を抱えながら新しい表現を模索する「ポスト1980年代」の作家です。改革開放後の急激な近代化の中で生まれ育ってきた世代の葛藤を、重層的に描写しています。

本展で、加藤は新作の絵画と3メートルを超える大型彫刻などおおよそ12点、陳飛は大作の新作絵画と彫刻1点を含む約12点の作品を展示します。国や世代、作風も異なる二人ですが、人と自然のあらゆる生きものが共生する世界観は共通しています。加藤による原始にまで遡るような人の「原形」と、陳飛による人工的な社会で野生を持て余す「現代人」、根源をたどればどちらも普遍的な存在です。また、人や情報の交流が活発になり、日本、韓国、中国からインド、東南アジア諸国までが「アジア」という一つの国として捉えられるようになった現在。友人でもある作家同士が刺激しあい、鑑賞者も富山から海の向こうを眺め、生きているこの世界を立ち止まって考えるような場になることでしょう。不穏な現代で、アートの価値を再発見しに、ぜひ足をお運び願います。

アーティスト

加藤泉 かとう・いずみ

1969年島根県生まれ。東京在住。1992年武蔵野美術大学造形学部油絵科卒業。ヴェネツィア・ビエンナーレ国際企画展(2007)以降、国際舞台へ。主な個展に鹿児島県霧島アートの森(2012)、ギャラリー・ペロタン(香港、パリ/2014、ニューヨーク/2016)。主なグループ展に「内臓感覚 - 遠クテ近イ生ノ声」金沢21世紀美術館(2013)、「STANCE or DISTANCE? - わたしと世界をつなぐ「距離」」熊本市現代美術館(2015)。
http://izumikato.com/

加藤泉《無題》2016年、ソフトビニール、木、アクリル、120x38x70cm、撮影:岡野圭 Courtesy the Artist and Galerie Perrotin, ©2016 Izumi Kato 加藤泉《無題》2016年、ソフトビニール、木、アクリル、120x38x70cm、撮影:岡野圭
Courtesy the Artist and Galerie Perrotin, ©2016 Izumi Kato

加藤泉《無題》2016年、油彩、キャンバス、162x130.3cm、撮影:岡野圭 Courtesy the Artist and Galerie Perrotin, ©2016 Izumi Kato 加藤泉《無題》2016年、油彩、キャンバス、162x130.3cm、撮影:岡野圭
Courtesy the Artist and Galerie Perrotin, ©2016 Izumi Kato

加藤泉《無題》2014年、木、アクリル、ステンレス、高さ362cm、サイズ可変、撮影:佐藤祐介 Courtesy the Artist and Galerie Perrotin, ©2014 Izumi Kato 加藤泉《無題》2014年、木、アクリル、ステンレス、高さ362cm、サイズ可変、撮影:佐藤祐介
Courtesy the Artist and Galerie Perrotin, ©2014 Izumi Kato

加藤泉《無題》2016年、木、アクリル、ソフトビニール、121×30×30cm、撮影:渡邉郁弘 Courtesy the Artist and Galerie Perrotin, ©2016 Izumi Kato 加藤泉《無題》2016年、木、アクリル、ソフトビニール、121×30×30cm、撮影:渡邉郁弘
Courtesy the Artist and Galerie Perrotin, ©2016 Izumi Kato

陳飛 Chen Fei/チェン・フェイ

1983年中華人民共和国山西省洪洞県生まれ。北京在住。2005年北京電影学院卒業。主な個展に「Stranger」今日美術館(北京/2011)、「Flesh and Me」 ギャラリー・ペロタン(香港/2014)、「The Day is Yet Long」ギャルリー・ウルス・メイレ(北京、ルツェルン, スイス/2016)。主なグループ展に蘇州金鶏湖美術館(蘇州/2013)、龍美術館(上海/2013、2014)、アロス・オーフス美術館(オーフス, デンマーク/2015)、北京民生現代美術館(北京/2015)。

陳飛《ここにいた》2016年、アクリル、キャンバス、240x180cm Courtesy the Artist, ©2016 Chen Fei 陳飛《ここにいた》2016年、アクリル、キャンバス、240x180cm
Courtesy the Artist, ©2016 Chen Fei

陳飛《博物学》2016年、アクリル、キャンバス、290x220cm Courtesy the Artist, ©2016 Chen Fei 陳飛《博物学》2016年、アクリル、キャンバス、290x220cm
Courtesy Galerie Perrotin, ©2016 Chen Fei

陳飛《芸術の頂点に登る》2015年、アクリル、麻、180×240cm、個人蔵 Courtesy the Artist and Galerie Urs Meile, Beijing-Lucerne, ©2015 Chen Fei 陳飛《芸術の頂点に登る》2015年、アクリル、麻、180×240cm、個人蔵
Courtesy the Artist and Galerie Urs Meile, Beijing-Lucerne, ©2015 Chen Fei

陳飛《日は長い》2015年、アクリル、麻、180×240cm、個人蔵 Courtesy the Artist and Galerie Urs Meile, Beijing-Lucerne, ©2015 Chen Fe 陳飛《日は長い》2015年、アクリル、麻、180×240cm、個人蔵
Courtesy the Artist and Galerie Urs Meile, Beijing-Lucerne, ©2015 Chen Fei

基本情報

会期 2016年9月18日(日)- 12月18日(日)
会場 入善町 下山芸術の森 発電所美術館
〒939-0631 富山県下新川郡入善町にゅうぜんまち下山にざやま364-1
Tel&Fax : 0765-78-0621
休館日 月曜(ただし祝日の9月19日、10月10日は開館)、祝日の翌日(9月20日・23日、10月11日、11月4日・24日)
開館時間 9:00 - 17:00(入館は16:30まで)
料金 一般:600円、高大生:300円、中学生以下無料
団体料金(10名以上)一般:400円、高大生:200円
主催 公益財団法人入善町文化振興財団
共催 北日本新聞社
後援 北日本放送、富山テレビ放送、チューリップテレビ、みらーれTV、新川コミュニティ放送
協賛 アサヒ飲料 北陸工場
協力 ギャラリー・ペロタン

お問い合わせ

発電所美術館
Tel&Fax:0765-78-0621
Email:

アクセス

〒939-0631 富山県下新川郡入善町にゅうぜんまち下山にざやま364-1
Tel&Fax:0765-78-0621

鉄道でお越しの方(北陸新幹線で東京からもアクセス便利に)

  • JR:
    黒部宇奈月温泉駅よりタクシーで約15分
    • 東京駅→(北陸新幹線)→黒部宇奈月温泉駅:2時間20分
    • 金沢駅→(北陸新幹線)→黒部宇奈月温泉駅:37分
  • あいの風とやま鉄道:
    入善駅よりタクシーで約10分

お車でお越しの方

  • 北陸自動車道:
    • 黒部インターチェンジより約15分
    • 入善スマートインターチェンジより約5分(ETC車のみ)

発電所美術館

北アルプスを背景に広がる黒部川扇状地に位置する下山芸術の森。その中心にあるのが1926(大正15)年に建設されたレンガ造りの水力発電所を再生した「発電所美術館」です。取り壊し予定だった旧黒部川第二発電所が美術館として生まれ変わり、1995年4月に開館、翌年12月には国の登録有形文化財に指定されました。近代化歴史遺産建築と現代美術の出会いの場として、内藤礼展(2007年)、ヤノベケンジ展(2010年)など独自の企画展を開催しています。天井高は約10m、見上げるとむき出しの鉄骨トラス。館内には3機あった発電機の内1機がそのまま残され、撤去された発電機跡には洞窟のような直径3mの導水管が壁面にぽっかりと口を開け、赤さびた質感もそのままに、かつての勢いある水流を想像させます。

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